REPORT

Sendai Startup Studio INNOVATOR’S MEETUP #27 ~人生の主人公を増やす社会へ―志を社会実装する起業家の思考法~

開催日 2026年8月26日

「INNOVATOR’S MEETUP」は、スタートアップのためのワンストップ支援拠点「仙台スタートアップスタジオ」で開催している、セミナーとネットワーキングを組み合わせたイベントです。

スタートアップや新規事業の立ち上げを目指す方、すでに起業家として活動されている方、企業で新しい挑戦に取り組む方、そしてスタートアップを支援する方など、さまざまな立場の人が集まり、挑戦のリアルや新しいビジネスの可能性について学び、交流する場をつくっています。

今年度3回目、通算27回目となる今回は、「人生の主人公を増やす社会へ──志を社会実装する起業家の思考法」をテーマに開催。 株式会社Kakedas 取締役会長/株式会社アルキメデステクノロジーズ 代表取締役CEOの渋川 駿伍氏をスピーカーに迎え、株式会社ATOMica 執行役員・起業創業支援責任者の森 祐太氏がモデレーターを務めました。

「起業したい。でも、何をやればいいかわからない」

「社会をもっと良くしたい。いつか起業してみたい。」
そう思っていても、
「自分にはまだアイデアがない」
「起業できるほどの経験がない」
「そもそも、何から始めればいいのかわからない」
そんな壁を感じる方も少なくありません。

しかし、今回の渋川氏の話から見えてきたのは、最初から完璧なアイデアや事業計画があったわけではないということ。

高校時代の地域活動を起点に、全国をヒッチハイクで巡ったギャップイヤー、19歳での起業、事業のピボット、M&A、そして新たな会社の創業。
その歩みは、一直線の「成功ストーリー」ではありません。
その時々で悩み、迷いながらも、自分が面白いと思うことや社会に対して感じた違和感を起点に、一つひとつ行動に移してきた軌跡でした。

今回のイベントでは、そんな渋川氏の経験をもとに、「志や興味を、どうやって社会に実装していくのか」について、リアルな思考プロセスをお話しいただきました。

原体験から生まれた「Kakedas」

渋川氏の起業の原点の一つとなったのが、小学6年生の時に経験した東日本大震災でした。
震災の際、政府よりも早く動き、社会を支える民間企業の姿を目の当たりにしたことで、「自分も社会のインフラとなるような事業をつくりたい」という思いを抱くようになったといいます。

そこから19歳で創業したのが、オンライン・カウンセリングプラットフォーム「Kakedas」。
現在では国内最大級のオンライン・カウンセリングプラットフォームへと成長しています。

一方で、渋川氏のキャリアはKakedasだけではありません。

日本一周ヒッチハイク中の経験と、好きだった「ポップコーン」を掛け合わせて設立した日本ポップコーン協会。

さらに、「人格の保存」「マインドアップローディング」をテーマに、2026年1月に創業したばかりのアルキメデステクノロジーズ。

一見すると、それぞれ全く異なる事業にも見えます。
しかし、その根底には、

「人生の主人公を増やす」
「世の中のワクワクの総量を増やす」
という、一貫したビジョンがありました。

「好き」や「興味」を、社会とどう接続するのか

今回、特に印象的だったのは、渋川氏が自身の「興味」や「好き」を、必ずしも最初から大きな社会課題と結びつけて考えていたわけではないということです。

ヒッチハイク、プログラミング、ポップコーン。

一見すると、事業とは直接関係がなさそうな個人的な興味も、行動して、人と出会い、経験を重ねていくことで、新しい事業や社会との接点になっていきます。

「社会課題を見つけてから自分を合わせる」のではなく、自分自身の興味や原体験を起点に、社会との接点を探していく。 その姿勢は、「起業したいけれど、まだアイデアがない」という参加者にとっても、大きなヒントになったのではないでしょうか。

「人格を宿すAI」のデモも

イベント後半では、渋川氏自身の人格・記憶・経験を宿したクローンAIのデモも実施。

これまでの経験や知識をAIにどう引き継ぎ、未来に残していくのか。

「人格の保存」「マインドアップローディング」という、まだ多くの人にとって未知の領域への挑戦に、会場からは大きな関心が寄せられました。

参加者からも次々と質問が飛び交い、渋川氏との対話を通じて、それぞれが「自分ならどうするか」を考える時間となりました。

参加者からの質問として、

  • なぜ19歳で起業しようと思ったのですか?就職しようかと迷ったことはありますか?
  • マーケットインが正義である雰囲気があり、プロダクトを押し切るのは勇気がいります。でも大成功している起業家は自分のアイディアに自信を持ってやりきっているように思います。このあたり、貫く勇気、コツみたいなものはありますでしょうか?
  • 自分がやりたいことが必ずしも社会的に影響のある事業につながるとは思えないのですが、どのように「やりたい」と「社会的影響力」をつなげますか?
  • これで起業したい!というよりも、はじめは起業自体に興味があったのですか?

など、たくさんの質問がありました。

また、参加者からは、イベント終了後も多くの前向きな感想が寄せられました。

  • 事業のお話を複数伺えてとても楽しかったです。
  • 渋川さんのお話が刺さり過ぎました。
  • 最後のアルキメデステクノロジーズの事業内容がとても興味深かったです。
  • 良い意味でぶっ飛んでる思考→行動に移せる試行者だと思います。
  • 色々な思いつき、ポップコーン協会の話は面白かった。
  • もっと知りたい、聞いていたいというポジティブな不満を持ちました。

講演終了後の交流会でも、渋川氏への質問は途切れることなく、学生の参加者と真剣にディスカッションする姿も見られました。

「起業する理由」は、最初から大きくなくていい

今回のイベントを通じて感じたのは、「起業のきっかけは、もっと自由でいい」ということです。

社会を変えたい。
自分の好きなことを仕事にしたい。
身近な課題を解決したい。
面白いことをやってみたい。
とにかく何か新しいことに挑戦してみたい。

その入口は、人によって違います。
大切なのは、最初から完璧な答えを持っていることではなく、自分が「面白そう」「やってみたい」と思ったことに、一歩踏み出してみること。
行動して、人と出会い、試して、失敗して、また考える。
その積み重ねの先に、いつか「志」が「事業」になり、社会を変える力になっていくのかもしれません。
渋川氏が歩んできたキャリアは、そのことを体現しているように感じました。

仙台から、新しい挑戦を生み出すために

仙台スタートアップスタジオでは、これからもスタートアップや起業家、支援者、企業、学生など、新しい挑戦に関わるすべての人が出会い、学び、次の一歩を踏み出せる場をつくっていきます。

「起業したいけれど、まだ何をするか決まっていない」
「自分のアイデアについて誰かに相談してみたい」
「起業家や支援者とつながりたい」
「地域から新しい事業を生み出したい」

そんな方も、ぜひ気軽に仙台スタートアップスタジオへお越しください。

仙台スタートアップスタジオでは、今後もさまざまなイベントや情報発信を通じて、仙台から新たな挑戦が生まれるきっかけをつくっていきます。

イベントでのコラボレーションや、スタートアップ・起業家支援に関するご相談も大歓迎です。
皆さまのご参加・ご来場を心よりお待ちしております。