INTERVIEW

相談者

【 株式会社ATOMica 】 「スタートアップの“かかりつけ医”に、もっと気軽に頼っていい」 株式会社ATOMica・嶋田瑞生Co-CEO

#相談者の声 #経営戦略 #経営者マインド #起業家マインド

株式会社ATOMica|「スタートアップの“かかりつけ医”に、もっと気軽に頼っていい」 株式会社ATOMica・嶋田瑞生Co-CEO

仙台出身で、創業6年目、150人規模のスタートアップを率いる嶋田瑞生さん。
仙台スタートアップスタジオの相談窓口を運営している当事者でもありながら、自ら起業家の相談者として窓口を利用し、「相談して良かった」という体験について伺ってみました。

Interviewee

写真:嶋田瑞生

株式会社ATOMica

代表取締役 Co-CEO 嶋田瑞生 さん

1994年仙台生まれ、東北大学卒業。
大学1年生の冬にGamificationの領域で起業。会社経営を通じて様々なオトナと出会い、 そして共創が起きていく面白さに気付く。
活動を通じて仙台市長から表彰。
その後メガベンチャーにエンジニアとして入社後の2019年に当社を設立。
創業6年で正社員のみで150名を超える組織に成長し、その地域貢献性の高さから経産省からの認定や内閣府からの担当大臣表彰を受ける。

「相談するのって、ちょっと気が引ける」
「こんなこと聞いていいのかな……」
 スタートアップの経営者にとって、誰かに“相談する”という行為は意外とハードルが高いもの。
 でも、そんな心理的な壁をそっと乗り越えさせてくれるのが、仙台スタートアップスタジオの「相談窓口」です。

今回お話を伺ったのは、実はその相談窓口を運営している当事者でもありながら、自らも相談者として初めてこの窓口を利用した、株式会社ATOMica代表取締役の嶋田さん。
 創業6年目、150人規模のスタートアップを率いる彼が「相談してよかった」と実感したその背景には、どんな体験があったのでしょうか?


事業も組織も急成長中、ふと気づいた「自分も相談していいのかな」

——まずは、どんな事業を展開されているのか教えてください。

私たちは、「人と人を結び続ける専門職」であるコミュニティマネージャーを中心に据えながら、全国各地で拠点やコミュニティの企画・運営を行っている会社です。
地域での拠点運営に加えて、学生と地域企業をつなぐインターンシップ事業や、創業支援の取り組みなども行っています。
創業は2019年の春で、今年でちょうど6年。
現在は業務委託・アルバイトを除いて150名ほどの規模になっていて、シリーズB前後のレイターフェーズに差しかかっている段階です。

——相談窓口を知ったきっかけは?

実は、仙台市さんからの事業受託を経て、私たち自身がこの相談窓口を運営している立場でもあるんです。
日々、相談に来られる起業家の方々とメンターのやり取りを間近で見ている中で、「あれ、自分も相談してみたいな」と思うようになりまして。
仙台市のご担当者に「これって、私も相談していいんですか?」と聞いたのがきっかけです(笑)。


「誰に聞けばいいかわからない」そんな組織課題のもやもやを持っていた

——相談する前は、どんな悩みやテーマを抱えていましたか?

いわゆる「30人・50人・100人の壁」って言われるものがありますよね。
 組織の強さに関係なく、人数が増えると必ず出てくる問題があると思っていて、当社もまさにその壁にぶつかっていました

150人規模になると、「お互いのことがわからない」といった課題から、もっと複雑な組織構造の話まで、いろいろ出てくるんです。

そんな中で、一度しっかり話してみたいと思っていたのが鈴木修さん
 組織課題に関する深い知見をお持ちで、「他の会社さんってどうしてるんだろう?」という素朴な疑問も含めて、修さんと議論してみたかったんです。


「素直に、まるっと話していいんだ」安心感のある対話

——実際に相談してみたときの雰囲気はどうでしたか?

普段からお付き合いのある修さんだったので、改まって相談するのはちょっと不思議な感じでした(笑)。
 でも、いざ話し始めると、ゆっくりうなずきながら聞いてくださる安心感があって、肩の力がすっと抜けました。 起業家って、専門家や投資家の前ではちょっと「かっこつけたくなる」こともあると思うんです。
 でもこの時は、素直に・まるっと悩みごとをお話しできた気がしています。


思考の整理と、視野の広がりが同時に起こった

——相談の中では、どんな話をされましたか?

最初に、いま感じている組織課題の整理から始まり、組織図の設計意図や評価制度、各職種のミッション定義まで、かなり広範囲の内容を話しました。
 僕は「誰かに話すと脳が整理されるタイプ」なので、それだけでもすごく意味があったと感じています。

加えて修さんからは、「公平性と平等性の違い」や「共通化と部分最適のバランス」「最適を目指す姿勢」といった、本質的な視点をいただけたのが大きかったですね。

全国に30近い拠点がある当社に対しても、「それは大変だから…」ではなく、「だからこそできることもある」という前向きな視点で話してくださったのが印象的でした。


相談とは、思考が“整っていない”時こそ価値があるもの

——相談してみて、どんな気持ちや行動の変化がありましたか?

まず、「いまやっている方針でいいんだ」と背中を押してもらえたこと。
 そして、それとは異なる新しい視点もいただいて、思考の幅が広がった実感があります。

なにより、僕自身これまで「相談」という行動をあまりとってこなかったことに気づきました。
 これからは意図的に、人に相談する時間を増やしていきたいと思うようになりましたね。


雑談からIPO談義へ。偶発性も“相談の価値”

——「もっと早く相談していればよかった」と感じたことはありますか?

実は相談の中で、人事課題から雑談が広がって、IPOについての話にまで発展したんです。
 なぜIPOを目指すのか、そのためにどんな組織設計が必要か──すごく面白い議論になりました。

相談って、ひとつのテーマで始まっても、思いがけない方向に話が展開することがよくありますよね。
 でもその偶発性こそが、すごく楽しいし、価値だなと思います。


「スタートアップのかかりつけ医」として、相談窓口をもっと身近に

——相談窓口を“ひと言で表すと”?

僕にとっては、「スタートアップのかかりつけ医」みたいな存在です。
 ちょっとした不安や違和感を感じた時に、気軽に駆け込める場所。

「なんでこんなことで来たんですか?」なんて絶対に言われませんから、ご安心ください。

——最後に、迷っている起業家へひと言お願いします。

「課題」にまで整理されていなくても、「悩み事」や「相談ごと」の段階で構いません。
 スタジオの相談窓口は、そういうカジュアルな相談のためにこそある場所です。

当社のコミュニティマネージャー、メンターズボックスの皆さま、アドバイザリーボードの皆さま――
 愛を持って話を聞いてくれる仲間がそろっています。ぜひ、気軽にお声がけください。

編集後記:

このインタビューを通して印象的だったのは、「相談は、答えをもらう行為ではなく、自分自身を整理する時間」であるということ。
そして、「相談すること自体が、未来の選択肢を広げてくれる」という実感です。
あなたのその“もやもや”、今のままで大丈夫。
どうぞ、ふらっと立ち寄ってみてください。